低血糖症 資料

柏崎良子著 [栄養医学の手引]より抜粋

49章 低血糖症の治療1 食事療法

 低血糖症は膵臓が疲れてインスリン等の分泌が正常に対応出来ないために発症することが多いです。膵臓を保護し、休ませる食事をすることが必要です。脂肪の多い食事や糖質の多い食事(特に単糖類や2糖類は吸収が早いので良くない)を控え、ビタミン・ミネラルの豊富な食事を行うことが大切です。効果は1~2ヶ月位から現れてきます。

食べ方についての注意点

・ 過食を慎み食事は少量頻回食にして、食後2時間位に間食を摂る。(種子類、ナッツ類、ヨーグルト等)
・ 落ち着いた、せかせかしない雰囲気の中でゆっくり食べる。良く噛んで食べることは、ブドウ糖の急激な吸収を抑え、満腹中枢を刺激して、過食の予防に役立つ。
・ T-CHO(総コレステロール)の低い方はタン白質を多めに摂る。
・ タン白質は消化に塩酸を必要とするので、空腹時にはタン白質、サラダ、炭水化物の順で食べる。
・ 膵臓は、ブドウ糖を調節するインスリンやグルカゴン、デンプンを分解するアミラーゼ、脂防を分解するリパーゼを分泌する働きがある。膵臓を休ませ、保護するためには、糖分の多い食物、脂肪の多い食物は多食しないことが必要です。
・ストレスはビタミンB群や副腎皮質及び髄質ホルモンを通常の数倍も消耗させるので、良く睡眠と休養をとる様にする。カルシウム、マグネシウムの豊富な物も必要。低血糖時では視床下部を通して副交感神経が刺激されてインスリン分泌過剰となり、この為ガストリン分泌が促され、胃酸の分泌が増え、過食にもなりやすい。
・ ゲームやテレビはビタミンB1を消費する為長時間続けない。
・ アルコールは、カルシウムやマグネシウムなどインスリンの分泌に必要な栄養素を尿の中に排泄してしまうので摂らない方がよい。
・ アルコール,タバコ,カフェインはビタミンCを枯渇させ、血糖値も上昇させるのでやめなければならない。
・ 低血糖を予防する為、食事と食事の間を長く空けない。サプリメントを含め、午前中1~2回、午後に2~3回摂る。寝る前1時間前にも軽食(プレーンヨーグルト、牛乳など)を摂る。この事により、低血糖を予防できる。

食べ物についての注意点

・ 低血糖症はビタミン依存の体質であるので新鮮なものを摂る。
・ 低血糖症の人にはアレルギー性皮膚炎が起きることが多いので亜鉛摂取、ビタミンB摂取を心がける。
・ 未精製の穀物(玄米,胚芽米,全粒粉の小麦粉)を用いることにより、ブドウ糖の吸収はゆるやかになり、ビタミンミネラルも摂取できる。麦などを入れるのも良い。白砂糖は絶つ。
・ なるべく、天然の調味料(粗製糖、粗製塩、昆布、煮干など)を用い、人口甘味料,香料,色素,化学調味料は避ける。ウィンナソーセージなどは、沸騰したお湯で2-3分ゆでると、添加物の除去に役立つ。
・ 冷凍、レトルト、インスタント食品はミネラルが欠乏しているので控える。
・ 調理法は、陶製鍋調理あるいは無水調理が望ましい。生の状態で食べられればそれが良い。
・ 食用油で最も良いのはオリーブ油と胡麻油である。揚げ油の吸収率は素揚げが最も低い。
・穀物、種子、ナッツ類は、ビタミンB群、ビタミンE、ミネラル(カルシウム、マグネシウム、亜鉛、カリウム、クロム、マンガン、鉄、銅、セレン、フッ素、モリブデンetc)が多い。これらは糖代謝を含む身体の中での化学反応をスムーズに行なわせる(例:TCAサイクル)のに役立つ。同時にそれらの物は人間の自然な抵抗力を増大させるパシファリンや、体内でビタミンの産出を助け細胞の老化を防ぐオークソンズも含んでいる。更に発芽することでその栄養価を増進させる(小麦、大豆、もやし、アルファルファ)
・ ナッツ類では、アーモンド(一番長持ちする)、ピーナッツ、へ-ゼルナッツなどが良い。
・ 穀物の中では、ソバとキビが低血糖症には良い。ソバにはマグネシウム、マンガン、亜鉛が豊富で、その中に含まれるルチンは血糖のゆるやかな上昇に役立つ。
・ 乾燥した穀類や豆に含まれるミネラルはフィチン酸に結合していることが多い。フィチン酸は消化吸収を妨げる作用があり、パンを焼く、おかゆを炊く等穀物を調理することで破壊される。
・ にんにく、玉ねぎ、ねぎにはインスリン様性質が含まれるので良い。
・ 初期には果物も控え目にし、果糖の多いものは避ける。
・ 果物は、生で、旬のもので、できれば朝食として食べると良い。ケフィアヨーグルト、プレーンヨーグルト、その他の発行乳をコップ1杯食事に加えると良い。
・ アボガドには、インスリン産生を刺激せず抑制する働きがある。
・ 缶ジュースは砂糖を大量に含む為飲んではならない。果実や野菜のジュースも急激に吸収されるため、治療の初期には摂らないようにする。1ヶ月を過ぎた頃より少量ずつ摂る。
・ チョコレート、紅茶、コーヒー、コーラなどカフェインを含んだものは副腎を刺激し血糖値を上げる為、多く摂らない。カフェインは治療開始後1ヶ月を過ぎてから、薄いものをミルク入りで1日1杯まで。
・ たばこは血糖値を上げるので副腎と膵臓を疲労させます。吸わないように心掛けましょう。

※ 食事は楽しみながら食べると、より一層胃液の分泌も増して消化吸収も良くなります。 上記の事を念頭に置きながらバラエティに富んだメニューを作り、楽しい食生活をするように致しましょう。

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